王様の国
1DKの小さなマンションに一人で住んでいる王様がいました。ふと周りを見渡した王様は、今では全く使わない通販で買った健康器具が放置してあることに気づきます。これはもう健康器具なんかじゃありません。ただのゴミです。引き続き部屋の中を探索すると、今度は物置きの中からたこ焼き器が出てきました。友達を家に呼んでたこ焼きパーティでもするつもりだったのでしょう。これに関しては、今まで一度も使ったことがありません。これもゴミです。王様は友達があまりにも少ないので、こんなもの全く必要ありません。
これらはまぎれもない不法投棄です。
「我が国はこんなにもゴミが不法投棄されているとは…。」王様は、自分の国がゴミだらけであることに気づきます。王様は今まで、自分の国を治めることができていませんでした。なんとなくその国の中心に居座り、欲しいものを手に入れ、あとは知らんぷりだったのです。これはなんとかしなければなりません。王様は心を入れ換え、この国を統治するために奮闘するのでした…。
僕はかつて、この王様と同じ過ちをしていました。自分の領土を自分でぐちゃぐちゃにしていたんです。自分が支配している領土くらい、ちゃんと整備するのは当たり前のことですよね。生活しやすい環境作り、物資の選別、全て思い通りにできるんですから、より理想的な領土に近づけることは可能です。しかし僕の国はまだまだ整備されてません(苦笑)。相変わらず不法投棄があったり、古い遺跡が埋まっています。
しかし、やはり自分が影響を与えられる範囲くらいはなんとかしたいものです。僕のマンションは年季の入ったオンボロですが、それでもかけがえのない僕の国です。この自分が支配するほんの小さな世界を、しっかりとコントロールしていきたいと思っています。
世の中は不幸でも、せめて自分の国ぐらいは幸せでありたいですね。